Simulation 手術前シミュレーションについて
インプラント治療は、外科手術をともなう治療であるため、一歩間違うと重要な神経や血管を傷つけ、麻痺や窒息などの事故が起こるリスクがあります。
顎骨の中という目には見えない部分に対し、より安全にインプラントを埋め込むためには、顎骨の厚みや顎骨の中の状態を詳しく把握しておく必要があります。
カナザキ歯科では、より安全に、患者さまにとってより良いインプラント治療を提供するため、コンピューター上でインプラントを埋め込む「手術前シミュレーション」を3回実施しています。
手術前シミュレーションは、歯科用CT撮影で得た患者さまのお口を再現する3次元立体画像を使って行うため、実際の治療部位と周囲の神経や血管の位置関係を把握したうえで、インプラントの埋め込む位置、角度などを十分に検討することができます。
当院ではシミュレーションは3回、それぞれ別日に行って慎重に検討を重ねることで、より安全かつ患者さまのお口に適した治療計画を立案します。
Flow 手術前シミュレーションの流れ
1歯科用CTで撮影する
まずは患者さまのお口を歯科用CTで撮影します。歯科用CTは、お口をあらゆる角度から撮影することで断面画像を得られるX線撮影装置で、コンピューター処置によって患者さまのお口の3次元立体画像を作成できます。
この3次元立体画像からは、平面のレントゲン画像では確認できない顎の内部構造や骨の厚み、骨質などを把握できるため、インプラント治療が適しているかどうかを診断するためにも歯科用CT検査は不可欠です。
2CT画像からシミュレーションソフトで立体画像を作成
歯科用CTで撮影した断層画像を元に、シミュレーションソフトで患者さまのお口の3次元立体画像を作成します。レントゲン画像の場合、撮影角度によっては歪みが生じることがありますが、歯科用CT画像を元にした3次元立体画像ではそのような心配はなく、歯の生えている角度や歯根の長さ、周囲の神経や血管の位置などもより正確に把握できます。
事前に手術部位とその周囲の状態について詳しく把握しておくことが、誤って血管や神経を損傷してしまうようなリスクの回避につながります。
3インプラント手術のシミュレーションを実施
3次元立体画像を使ってコンピューター画面上でインプラント手術のシミュレーションを行います。
このシミュレーションでは、インプラントの種類やサイズ、埋め込む位置や角度、深さなどを綿密に検討できます。
1回の手術を行うのに最低3回のシミュレーションを行い安全性を確認しています。オペを確実なものにするために一切妥協をしません。
4シミュレーションどおりに手術を行うためのガイドを作製
シミュレーションのデータを元に、シミュレーションどおりの位置や角度でインプラントを埋め込めるようにアシストする樹脂製のガイド(手術用テンプレート)を作製します。
ガイドを患者さまのお口に装着し、ガイドにあいている穴に沿ってインプラントを埋め込むと、シミュレーションどおりの位置や角度でインプラントを埋め込むことができます。
また、従来のインプラント治療のように大きく歯肉を切開する必要がないため、手術による体への負担を抑えられます。
5患者さまの骨格やお口の中を触診・視診
ガイドを使用すれば、シミュレーションどおりに顎骨に穴をあけることはできます。しかし、ガイドと実際の患者さまのお口の状態にズレがないとは言いきれません。どんなに優れたシステムであっても100%完璧ではないからです。
当院では、より正確な情報をもとに手術を行うため、歯科医師が治療部位の歯肉や骨を目で見て手で触って確認し、CTの画像と実際の患者さまの状態を照らし合わせたうえで手術に臨むようしています。
6インプラント手術の実施
局所麻酔をした後、患者さまのお口にガイドを装着し、ガイドの穴に沿ってドリルで小さな穴をあけます。その後、ドリルではなく超音波器具でインプラントを埋め込むための穴を形成し、インプラントを埋め込みます。
超音波器具を使用すると、神経や血管などの軟組織を傷つけずに骨だけを削ることができるため、手術によるリスクやダメージを軽減できます。
インプラント手術が成功するか否かは手術当日だけが重要なのではなく、
いかに手術前の工程を妥協なく丁寧に行えるかによって決まります。
・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
・インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
・高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
・手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
・手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞(鼻腔の両側の空洞)の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
・手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気副作用が現れることがあります。
・手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
・インプラントの耐用年数は、口腔内の環境(骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など)により異なります。
・毎日の清掃が不十分だった場合、インプラント周囲炎(歯肉の腫れや骨吸収など)を引き起こすことがあります。